先ず1月分として11献立が示されていますが、その内の幾つかを載せさせていただきます。献立( )の数字は引用書の番号です。

献立(その1)
1 長熨斗 敷紙三方
2 祝肴
松笠烏賊 中位の真烏賊の皮をむき水洗いして周りをよく取り、斜め十文字に包丁を入れ串にさし塩焼きにして適宜に包丁して置きます。
竹紙昆布牛皮煮昆布を濡れ布巾にて砂を拭き取り笹の葉の形に結びて鍋に、水、生酒、酢、砂糖、塩をよく混ぜ合せ、中火にかけ中頃よりとろ火にして汁のなくなるまで煮上げたものを牛皮煮と云います。
雪の梅のし梅を用いる。氷餅に砂糖を合せてよくもみ、のし梅にからんで置く。三品盛合せて用います。
3 雑煮
鶴のひと塩 塩漬の鶴を塩出しして薄切りに切り、玉酒に浸して置きます。
◆玉酒のとり方 酒一杯、水一杯、塩、砂糖これをよく混ぜ合せて置く。
子餅 お供形に取り、火取りて置きます。
亀甲大根 大根は一寸二分丸を亀甲にして二分厚さに切り茹でて二番出汁に含めて置く。
鏡芋 里芋の大きいものを直径(さしわたし)一寸、厚さ三分位にして大根と同じく含めて置く。
束をほごし、よく水洗いして丈を揃え根元を結えてさっと塩を振り、茹でて冷まして置き、用いるときにさっと下煮をして五色盛合せて用います。
4 祝肴
野母唐墨 野母の唐墨は濡布巾に包みしばらくして布巾をほごし上皮をむきとり小口より切りて置く。
千枚蕪みなと巻 千枚漬の蕪をよく拭き取り、浅草海苔を焼き千枚漬に合せて硬く巻き小口より切って置きます。
色煮山葵 極上等の山葵をささらでよく洗いしみを取り小口より二分の厚さを三枚に切って、立塩に二時間程漬置き、薄蜜、生酒、塩にてさっと煮て器に取って密閉してさめるまで置き、さめてから生の山葵を少々おろし、包丁の刃でよくたたき、それを薄蜜で煮た山葵の中へ入れてよく掻き回して、一日置いて、辛味の出て来る処を前の二品と盛合せて用います。
5 屠蘇酒
銚 子
酒宴
6 吸い物 清汁
雪見髭鱈 鱈の鱗を引いてよく洗い三枚におろし腹骨をかき取って一と塩して軽い押しをし、一時間の後とり出し大の才形に切り、玉酒に三十分程つけてとり出し、しんじょう肉の柔らかさと味をよく見て、鱈に雪のかかった様にして蒸して置きます。
色紙若布 新若布を水でよく戻し、筋をとって柔らかに茹で酒出汁に味をとり含めて置き汁気を取って擂鉢に入れよく擂り、裏漉をして置き、若布六分に烏賊の擂り身を四分よく混合せて味をとってツケ板に二分程の厚みにつけて蒸し、色紙形に切って置きます。
◆酒出汁のとり方 生酒三、味醂一、よく煮かえしてアルコールを焼き、その中へ濃い煮出汁を八、入れてよく煮たちたるとき下して漉して置く。
榎茸 根元を切り、水にてよく洗い、笊に上げて置く。用ふるとき本汁の中へ入れて味をとり、三品盛合せ、汁をそそぎ入れ、木の芽を上に置きます。
木の芽
7 向菜
金海鼠の粕漬 金海鼠は水に一週間程漬けて置き、それを取り出してよく洗い、水七分目程の鍋に金海鼠を入れ中火にて気長にもどし、取り出して腹を切ってよく中を洗い綺麗にし再び湯にかけて煮立ちたる時に取り出し、酒出汁に二日程漬けて置き、後汁をよく拭き取り粕に漬け五日目程より用います。
沙魚の紅葉子 これは食料品店にあります。
葉山葵 柔らか目の葉を摘茶の様に摘んで茎も五分位に切り両方合せてよく洗い、立塩に五時間程漬けて灰汁の抜けた時に汁を切って生酢でさっと洗い上げ、酒、薄蜜、塩、味の素、酢をよく混ぜ合せた中へ葉山葵を漬け込み密閉して一夜置いて用います。
8 口替
鶉味塩焼 鶉の腸の胃袋と砂袋をとり去りて、よく叩き、塩をまぶし、一夜置きてそれを擂鉢にてよく擂り、味醂、生酒、醤油、味の素を加えてよく擂り合せて味を試み、その汁で鶉を焼いて置く。
海老縮れ煮 鞘巻海老をよくつぶし肉挽に二回程かけそれに塩、砂糖少々、味の素、玉子の素をよく混ぜ合せて味を取って置きます。たぐり湯葉一本を二つに切ってならべ、その上へつぶしておいた海老をよく擂り込み指先にて一度裏返し、もう一度海老肉をつけて両方から寄せて角の瀬戸引の器に入れて酒出汁を両味にしてその汁を張って蒸煮にして置きます。
竹の子辛子煮 茹でた竹の子の皮をよくむいて適宜に包丁して、白蕎麦汁に含めておき、白味噌をよく裏漉して、玉子の黄身、玉子の素に辛子をよく混ぜ合せ、これに生酒、塩、砂糖を練り合せ、含めた竹の子を入れて薄く辛子が竹の子にのる程度にして三色盛合せて用います。
9 喰焼
白魚
芝海老
椎茸
百合根
莢豆
 南禅寺むし
白魚と芝海老を十分間程玉酒につけおき、椎茸は下煮をしておき、百合根に莢豆は塩茹でにしておき、この五品の汁をよく切って蓋物にいれておき、スープ三合、玉子の白味八、塩、味の素、味醂の煮切りを少々加えて味を取り盛ったものの上につぎ込み蒸し上げて用います。
10 刺身
鮒細引き洗い 五寸位の鮒の鱗を取って頭を切り腹を開け、よく水洗いして三枚におろし腹骨をかき皮をむき取り斜に細切りにして洗っておきます。
烏賊の作り身 もんご烏賊の皮をよくむき水洗いして周りを綺麗に取り竪に一寸五分位の幅に切り、竪に包丁目を入れて引作りにします。
糸目赤貝 糸目赤貝は貝をはがし、ひもを綺麗に洗ってまるのまま身の方へ一分位の深さに横に包丁を入れ又裏返して同じく包丁目を入れ、わた付の方から二つに切り割ってわたを除き薄塩にてよく洗いぬまりを取り水洗いしてよく水を拭き取り横につまむと糸目が立ちます。赤貝のわたは強くしもふりで酢洗いして汁気を絞り赤貝の裏よりわたを一つ抱かせてふくらみを持たせて用います。
二葉紫蘇
山葵
常の如く用います。
11 千代口
鮒の共酢 鮒の頭を二つに割って目と鰓を取り頭の油をよく洗い串にさして遠火にてこんがりと焼き、擂鉢でよく擂って加減酢に葛を少々入れ吉野酢に取って擂った鮒へ徐々に伸して、味の素、醤油にて味を取り裏漉しして用います。
◆加減酢のとり方 酢1升、水五合、塩小杓子一杯、薄口五勺、砂糖百匁、削り節二十匁、それを鍋に入れ火に掛け、煮えたつ前に下し、しばらくして水嚢にて漉して置きます。これを土佐酢と申します。用ふるとき、それを別けて品物により味の加減をして用います。
◆吉野酢 土佐酢に葛を少々用いて薄葛の様にして用います。
◆土佐醤油 醤油1升、味醂五勺、水を二合、これを混ぜ合せ中火にかけ煮立つ時にとろ火にして鰹節を1升に十匁入れて十分間煮た上鍋をおろして水嚢にて漉してさまして用います。(これは冬の取り方、夏は水を一合五勺味醂を五勺鰹節はそのまま)
12 小鉢
火取蛤
  おらんだ揚げ
中蛤をむいてよく砂を洗い玉酒にひたし汁を切り串にさして火取り、金ぷらの衣を硬目に作りそれへ生身を少々入れよく擂り合せる時に玉子の素、味の素、塩を少々加えて擂合せ裏漉して火取った蛤を一つづつ楊子に串さし、衣をつけて揚げます。
梅田牛蒡千切唐煮 梅田牛蒡を四寸位に切って卯の花を入れ水をたっぷりにして柔かに茹で一皮むいて二日程水にさらして灰汁を抜き、もう一度湯煮してうまい酒出汁に煮込んだものを、二寸位の長さにして荒らせんに切って油でいためて粉唐辛子を少々加えて塩辛目に煮て蛤と盛合せて用います。 width="15%"
引替膳
13 三州味噌七分に江戸味噌三分を加え削節を一つかみいれてよく手で混ぜ合せしばらく置いて水で徐々に伸して五分間程置き、よく掻き混ぜて味を試み火にかけて煮立ちたる時に火をとろ火にして浮き上った泡をすくい取り鍋をおろし水嚢で漉して用います。
田芹 田芹は鋏で節々の所より切り、軸も節を除けて切り、よく水洗いして茹でて水に晒し灰汁の抜けたとき水から上げて絞り、下煮して置きます。
土筆 土筆は袴を鰻串でよく剥きとり七分位の丈に切り、茹でて灰汁を抜き下煮して置きます。
水辛子 二色盛合せて水辛子を添えて用います。
14
甘鯛若狭干 甘鯛の鱗を取り頭を切り落し腹をあけ水洗いして三枚におろして腹骨をかき喰味の塩をして、笹を間に入れて、よく押しつけて漬けて一夜置く。とり出してさっと風干にして焼いて用います。
煮生姜
15 煮物(石山仕立) 薄あんかけ
鴨煮寄 鴨一羽を肉挽に二回程かけて、それに玉子の黄味を三つ、玉子の素盃に二杯、醤油、煮切りを少々加えたものをよく混ぜ置き、別の鍋に生酒、味醂、煮出し、醤油、これをよく混ぜ合せ味を試みて火にかけ煮立ちたる処へ鴨を入れ盛箸五、六本で鴨をつつき乍ら煮て蜂の巣の様にざんぐりと煮上げて置きます。
含め冬瓜 冬瓜は圍いの大きいものを切り皮を取り中の種を取り一寸角位に切放しよく茹でて柔かになった処を酒出汁に別にとりて汁のなくなるまで煮て味を試み笊に上げ汁を切り、玉子豆腐を蒸す枠を用意してその中へ鴨の煮寄せと冬瓜を混ぜ合せて隙のない様にふんわりと押さずにきめます。玉子を七個割りよく掻混ぜて醤油、煮切り、味の素でよく味を取り、水嚢でよく漉してかもと冬瓜をきめた上へ流し込み下までよく汁の廻る様にし、上はひたひたになる位にしてすぐに蒸上げます。(すぐに蒸上げないと冬瓜から汁が出て玉子とのなじみが悪くなります。)蒸上ると適宜に包丁して器に盛込み薄あんをかけて絞り生姜を添えて用います。
16 御飯
17 香の物
18 湯次
19 菓子


次回も一月の献立を載せさせて頂きます。


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