1月の料理を紹介いたします。

献立(その2)
1 椀盛
鶉火取 鶉を開いて骨を取り包丁の峯でよくたたき、串にさして生酒割の醤油を二度程かけて焼き、串を抜いて四つに切り汁を拭取って椀に盛ります。
時雨小蕪 小蕪を丸むきにして油で揚げ斑点のつくのを度として煮え湯で油を抜いて含置き、鶉と盛合せて汁を張り芽葱を添えてもちいます。
芽葱
2 酢菜
鯛紙塩 鯛のこけを引き鱗を取り骨を抜きわたを取り出し水洗いをよくして水を拭取り頭を取って三枚におろし腹骨を掻取り節取りにして皮を好き取り小さくそぎ身にします。抜板の上へ乾いた塩を霜の様にふりかけその上に美濃紙を一枚のせ、その上へそぎ身の鯛を一つづつ体よく並べその上へ又美濃紙を一枚のせ乾いた塩をふりかけ三十分程置きます。
茶せん小鰭 小鰭(こはだ)のこけを引き頭を取り腹の先を切落し腹をよく水洗いして三枚におろし腹骨をかきとり、これを抜板の上にふり塩をしてその上に並べその上へ又塩をふり(これは少々強目に塩をすること)一時間の後に水洗いし、水気を切って生酢で洗い加減酢に十分程浸して取出し皮と皮と合せて絞って置き、その皮目の方へ一分位の切目を入れて尾の方より巻いて茶せんのふくらみの形になるのを云います。
柚子ささ打 柚子の皮をむき水洗いして拭取り四つ割にして酢袋を半分程切取り種を取り、小口よりささ打にして極小量の砂糖をふり込みます。
山葵
 黄味酢
以上三品の下拵が出来ましたら鯛を三切重ねて盛りその右へ小鰭を盛り左へ柚子のささ打を盛合せて山葵は鯛の上に置き黄味酢を周囲より流し込みます。
◆黄味酢の作り方 玉子三個の黄味を取り器に入れ味醂少々、酢少々、味の素少々、塩少々、水ときの葛少量をよく混合せ布巾で絞り漉して鍋に入れ弱い火でだまの出来ない様に練って味を試みさまして用います。
3 口替り
鴨土佐蒸し 鴨の抱身をフライ鍋で皮目も肉も二分通位焼置き、味醂、酒、醤油を煮返し味の素を加えよく味を試みて置き、瀬戸引の蓋物に抱身を入れてその上に煮返した汁を張込み汁のさめない程度に湯せんにして三時間程置いて後取出して用います。(鳥の肉を切って赤味のある程度をよしとします)
篠独活辛子漬 独活を一寸五分位に切り一時間程水に漬け灰汁を抜いて取出しよく拭取り、辛子に酒、醤油、砂糖、味の素を加え味を試みその中へ独活を五時間程漬けて密閉して置きます。
柚餅子慈姑 慈姑の皮をむき水に一時間程漬けて取出して水気を拭き、おろし金でおろし、汁を軽く絞り、柚子の皮をむいてさっと茹で三時間程灰汁を抜いて擂鉢でよく擂つぶして裏漉しをして置きます。
以上の下拵が出来ますと、慈姑のおろし、柚子、烏賊のすりこみ、白味噌少々、砂糖少々を擂鉢で擂り合せ、唐墨の形にして竹の皮にくるみ籐で巻いて蒸上げてから籐を放し竹の皮に包んだ侭を四五日風干しにして用います。
4 焼物
鰻細川焼
 木の芽
鰻をひらき皮のぬまりを取り身の方へ骨切りして抜板の上で皮を表にして四枚並べ皮目の方へ出刃包丁の先でつき乍ら切目を入れて置きます。烏賊と海老を肉挽に二回程かけてそれに砂糖、塩、味の素、玉子の素を加えてよく混合せ味を試みて鰻の皮へ一分厚さにつけて左右より折返して真中をとじ目にしてはさみ串で細川醤油をかけながら焼きます。
◆細川醤油 甘鯛の骨を焼いて生酒、味醂、煮出し、醤油、焼葱、昆布をよく混合せて火にかけ煮つけます。これを細川醤油と云います。
5 小鉢
近江鮒すし 近江の鮒すしを小口より薄く切って五枚、松露は粕漬を二つに切って盛ります。色煮山葵は前回に説明されておりますので省略します。。
松露粕漬
色煮山葵
6 大千代口
芝海老
銀杏
三つ葉
 雲丹浸し
芝海老を串にさして火取り、銀杏は柔か煮にしてさっと下煮をして小口より薄く一分位に切ります。三つ葉は五分切りにして茹でます。
雲丹は裏漉をしてよく擂り、玉子の黄味と味の素を加え、以上の三品をよく混合せて盛ります。
7 中皿
青柳貝溜り焼 青柳貝のわたを指先でよく搾り剣先を取り出して串にさして山椒醤油で焼置きます。
能代竹の子 竹の子の皮をむきよくこそげて穂先を一寸五分切取りあとを二つ割にして小判形に作り下煮をよくしてさまして置きます。(竹の子に節穴のある時は、黄味鮓のあたりに玉子を煎り裏漉してそれを節穴に入れて形を作ります)
すり身を海苔に薄くつけて竹の子を二巻き巻き鰻串二本に横にさし、揚鍋に油の八分通り煮立ちたる時に、竹の子へ能代の衣を一分位の厚みにかけ油の中へ串をそっと入れ手を放さずに衣の固まるのを待って串を抜きます。揚げたものは狐色を度とし、一分ふくりんが平にかかることをよしとします。揚ったものは適宜に包丁して盛合せます。
◆能代の衣の仕立方 メリケン粉三杯の中へ片栗粉一杯を加え、玉子の黄味、みぞれ肉少々、生酒少々、水塩少々、砂糖、味の素を少々くわえ、よく擂り合せ、ドロリとなりたるを度とします。
8 煮物
伏見鮟鱇
 きもあん
鮟鱇の身を混合せこまかく切って下煮をよくして汁を切って置きます。生揚豆腐を湯の沸騰した中へ入れ重素を少々加えて茹でます。ざらつきのとれたるとき水にとりよくさらし絞って荒くちぎり鍋に入れ煮出し、生酒、味醂、醤油を加えて汁のなくなるまでよく煮て火より鍋をおろしてさめるまで鍋におき、さめた時豆腐を親指の頭位にちぎり鮟鱇とよく混合せて玉子豆腐を蒸す枠できめて八分位にして置きます。別に玉子を器の中へこはしてよく掻きまぜて砂糖、味の素、醤油で味を試み水嚢で漉して前の鮟鱇の中へそそぎ入れ鮟鱇とひたひたになるのを度として蒸します。(玉子をそそぎ入れてすぐ蒸上げないと鮟鱇や豆腐から汁が出てよりが悪くなりますから注意して下さい。)
◆きもあん きもを裏漉しにかけて白味噌を少々、玉子の黄味を少々、煮出し、醤油、煮切り、味の素にてよく混合せて味を試みよく練って鮟鱇にかけて用います。
9 味噌汁
沙魚の火取 沙魚のこけをよく引き頭を取り腹をあけ水洗いをよくし三枚におろし腹骨をかき立塩にひたし中骨を抜きよく拭取って身と身をよく合せ皮の方より串にさして火取って置きます。
短冊大根
 煮込み
大根を一寸五分位の長さに切り、四分位の幅にして厚味は一分位に切り、江戸味噌と三州味噌を半割にして味を試み、水嚢にて漉しその中へ大根をさっとしもをふりて味噌に煮込み、大根の柔かになった時に沙魚を入れて味を試み鍋をおろして用います。
10 御飯
11 香の物
12 湯次
13 菓子
14 果実

渋谷先生の頃と、現在の料理とは違うところが多いかも知れませんが、先人の残されたものから、献立を見るにつけ、先人の料理場での姿を勝手に想像してしまいます。この後も、追々載せさせて頂きます。


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