3月8日静岡新聞27面の”ウォッチング”に、県立美術館の新収蔵品の記事、写真が載っておりました。
実は、新しい収蔵品の目玉?である松岡映丘の”今昔ものがたり伊勢図”は 恥ずかしながら私どもの寄贈になるものです。この記事をご覧になられた方はご承知でしょうが、昭和5年大倉男爵が後援してローマで開かれた日本美術展覧会に出品されてから、一度も公開したことのない映丘の代表作です。だそうです。
別に、私どもが隠していたわけではないのです。以前山種美術館で映丘生誕百年記念の展覧会がありましたとき、美術館にお電話して所蔵のことをお伝えしたのですが、ご連絡なく、そのままになっていたわけで、普段は私個人のものですが、季節にあわせ店の座敷の床の間に掛けていました。
終戦直後、この絵を購入するとき梅原龍三郎画伯が座絶対に買っておきなさいと言われて買ったと、父耕作が言っていましたが、梅原先生が本当にそう仰られたかどうかは確認しておりません。
今回、寄贈した理由は、東海地震が叫ばれている折、もし起きたら 果たして私どもが守りきれるか と考えると安全なところに保管して頂いたほうがいいと思ったからです。折角の作品を私ども手許において駄目にしたら申し訳ない と思ったからです。預けること、売ることも出来ましたが、父耕作の購入したもので、私が購入したものでないこと、預けると、いつさもしい気持ちになって売るかもしれない私自身の心の弱さ、それを断ち切るため、家族みんなの賛成同意を得て、父の名がいつまでものこることをも願って寄贈することにしました。こんなことするなんて、私が年取った証拠ですね。
 ところで、松岡映丘の絵を持っていますと、当然ながら映丘の作品を展覧会などでよく見ました。その度に私どもがもっている作品が、それらに比べて優とも劣らないことを実感してましたし、世間の映丘にたいする評価ももう少しあってもいいのではないかと、いつも思っていました。もしかして、私どもが、映丘の代表作をいたずらに私蔵していた為としたら、映丘に申し訳ないなと、独り善がりにも思ったこともありました。だから、どこか適当なところが、喜んで受け取ってくださるところがあれば差し上げたいと、生意気にも長い間思っておりましたが、私どもが代表作をもっているなんて、どなたも信用してくださらないし、本当に”ローマ展”にだされたものなのか、素人の私どもには確認する手立てもなく、段段自信がなくなりそのままにしておりました。
先年、”ローマ展”70年を回顧した展覧会がホテルオークラで開かれ、その際写真をもって係りの方にお話を致しました。
このことで、私どもの絵が、映丘の代表作のひとつと確認したわけです。
多分、もともとは大倉男爵さんがお持ちの作品だったのでしょうから、一個人がもっているのはふさわしくない、ならば、どこにしようか ということになったのです。
 この絵なら国立近代美術館でも喜んで寄贈を受けますよ とさる高名な評論家さんが助言下さり、どこに寄贈しようか迷っておりましたが、私が日頃大変お世話になっている方のご助言ご尽力で、県立美術館にさせていただきました。
新しい静岡市の中心にある美術館に収められて、これからは直接手にふれることの出来ない一抹の寂しさはないと言ったら嘘になりますが、ほっとしております。亡き父耕作も私のしたことをよろこんでいるに違いありません。
 県立美術館の方が 私ども玉川楼にお出でいただいたとき、下村観山の作品をお見せしましたところ、それもと仰られましたので、次いでと言ったら下村観山に叱られてしまいますが、寄贈させて頂きました。
その後、私どもの所蔵品を調べて頂き、美術館にあっても耐えられるものもありそうですが、手元において暫く寄贈はしませんが、追々玉川楼の座敷に飾り、お出でのお客様にご笑覧願うつもりです。
 新収蔵展は4月5日から開かれるそうですが、ご覧いただけたら幸いです。(もう私のものではありませんが (^.^))

なんだか 手前味噌、自慢話?のようになってしまいました。ごめんなさい・・・。


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